定期監督と申告監督
労働基準監督署の労働基準監督官が行なう業務に次の監督業務あります。
定期監督 |
労働基準監督署が定めた年度計画の方針に基づきその年の行政課題に合った事業場を選定調査し、労働基準関係法令(労働安全衛生法、最低賃金法などの労働者の安全衛生を含む労働条件に関する法令をいう)の法令違反が認められた場合には、法定労働条件の履行確保を図るための行政指導 |
申告監督 |
労働者から労働基準監督官に対して労働基準関係法令の違反事実の申告に対し調査し、法令違反が認められた場合には、法定労働条件の履行確保を図るための行政指導 |
定期監督の調査内容
定期監督の調査内容によくある内容の一部には次の事項があります。
尚、定期監督には労務管理を調査するもののほか、建設現場などの安全衛生管理の監督を含みます。
調査事項 |
調査概要 |
労働条件の書面明示
(労働基準法15条) |
労働者を雇入れる際に、賃金額、支払い方法、所定労働時間などの法定事項について書面での交付 |
就業規則の作成及び届出
(労働基準法89条) |
常時10人以上の労働者を使用する事業場の就業規則の作成及び届出 |
労働時間
(労働基準法32条) |
法定労働時間を越えての労働がある場合に時間外労働に関する協定届の提出、また協定届の範囲での時間外労働、休日労働 |
割増賃金
(労働基準法37条) |
法律に準じた支払い
例)月によって定められた賃金の計算となる1時間当たり賃金割増計算は
月額賃金÷月の所定労働時間数(月により所定労働時間が異なる場合は年間の1月平均所定労働時間数)×割増率 |
健康診断
(労働安全衛生法66条) |
常時使用する労働者に対しての年1回定期の健康診断 |
申告監督の対応と申告事項
労働者からの申告事項は、東京労働局の「令和4年の申告事案の概要」【PDF】では次にようになっており、申告受理件数3,177件の内、「賃金不払」が全体の76.3%を占めています。
申告事項 |
件数 |
賃金不払 |
2,423件 |
解雇 |
384件 |
労働時間 |
66件 |
是正勧告書
是正勧告書とは、調査の際に労働基準関係法令の違反があれば即時または一定の期間内に改善すること求めて交付される文書です。
是正勧告書の文書に「なお、法条項に係る法違反(罰則のないものを除く。)については、
所定期日までに是正しない場合又は当該期日前であっても当該法違反を原因として労働災害が発生した場合には、事案の内容に応じ、送検手続をとることがあります。」とあり、悪質・重大な事案は送検されます。また、法律違反ではないが改善することが望ましい場合には指導票が交付されます。
当事務所より
労働基準監督署が行なう調査に労働保険料の調査があります。その労働保険料の調査について事業所便り第19号に掲載しています。 |