在職老齢年金の概要
厚生年金保険の被保険者(加入者)で老齢厚生年金と報酬(給与・賞与)の合計額が一定額以上の場合、老齢厚生年金の全部または一部が支給停止になります。尚、老齢基礎年金は支給停止対象ではありません。
報酬の決め方
在職老齢厚生年金の支給額を算定するとき、年金額と被保険者(加入者)の報酬(給与・賞与)を加算して計算することになっていますが、計算は「標準報酬月額」及び「標準賞与額」を加算して決定しています。
標準報酬月額とは
毎月の保険料や保険給付の計算の際に使用し、等級(健康保険は1~50等級、厚生年金は1~32等級)で区分した報酬月額の範囲に当てはめた額。
区分は厚生年金保険 標準報酬月額表(PDF)を参照してください。
標準賞与額とは
厚生年金保険の標準賞与額とは、税引き前の賞与の額から1千円未満の端数を切り捨てたもので、支給1回(同じ月に2回以上支給されたときは合算)につき、150万円が上限となります。尚、健康保険の標準賞与額の上限は、年間累計額573万円(毎年4月1日から翌年3月31日までの累計額)となります。
標準報酬月額の決定
標準報酬月額を決め方は事業主の届出により、主に次の3つになります。
1. 資格取得時決定 被保険者資格を取得したとき
2. 定時決定 4,5,6月の給与合計額(各種控除前、通勤交通費含む)を3で割った報酬月額より標準報酬月額が決定。決定した標準報酬月額はその年の9月より。
3. 随時改定 固定給の変更月から3か月間の給与合計額(各種控除前、通勤交通費含む)を3で割り、標準報酬月額に2等級以上変更があった場合に改定。変更月は、固定給変更月から4か月目より。
例) 定時決定で4,5,6月の給与合計額が894,000円(各種控除前、通勤交通費含む)
894,000円÷3=298,000円(報酬月額)
在職老齢年金の計算
基本月額とは
老齢厚生年金(報酬比例部分)を12で割った額
※加給年金、経過的加算は含まれません。
総報酬月額相当額とは

・基本月額と総報酬月額相当額との合計が50万円以下の場合 → 全額支給
・基本月額と総報酬月額相当額との合計が50万円を超える場合は → 次の計算式
※上記50万円(令和6年度額)の支給停止調整額は名目賃金変動率により改定されます。
※加給年金は老齢厚生年金が全額支給停止の場合は、支給停止になります。
計算式

在職老齢年金受給者の年金改定
在職老齢年金受給者が退職したとき(70歳に到達したとき)
厚生年金被保険者(加入者)で老齢厚生年金を受けている70歳未満の方が、退職して1か月を経過したときは、退職した翌月分の年金額から見直されます。これを「退職改定」といいます。また、厚生年金被保険者(加入者)で老齢厚生年金を受けている70歳未満の方が、70歳に到達したときは、70歳到達した翌月分の年金額から見直されます。
在職老齢年金受給の65歳以上の方が9月1日に厚生年金に加入しているとき
令和4年4月より、厚生年金被保険者(加入者)で老齢厚生年金を受けている65歳以上70歳未満の方が、基準日の9月1日において被保険者(加入者)であるときは、翌月の10月分の年金額から見直されます。これを「在職定時改定」と言います。
詳細は、在職定時改定制度(PDF)のリンクを参照してください。
70歳以上の在職老齢年金
厚生年金保険適用事業所で厚生年金保険の資格取得要件に該当する70歳以上の方は、在職老齢年金の支給調整対象者となります。尚、厚生年金保険の被保険者(加入者)とはなりませんので、保険料の徴収はありません。
在職老齢年金の詳細については、日本年金機構の「在職老齢年金の計算方法」のリンクを参照してください。
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