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事業所便り

<第21号>
試用期間での雇用終了

 期間の定めのない雇用で試用期間が設定されている場合に、試用期間中の従業員の勤務状態により使用者が試用期間で雇用を終了させる意思を伝え、雇用契約を終了させた場合は解雇に該当します。解雇の場合は、労働基準法20条(解雇の予告)が適用され、少なくとも解雇日の30日前の予告か、30日前に予告しない場合は、30日分以上の平均賃金の支払いが必要です。但し、労働基準法21条(解雇予告の特例)により試用期間開始日より14日以内で解雇する場合は、解雇の予告・平均賃金の支払いは不要です。

 使用者が試用期間で雇用を終了させたい場合、解雇ではなく退職勧奨を持ちかけることがあります。退職勧奨の場合は、労働基準法の解雇には該当しないので労働基準法20条の「解雇の予告」は適用されませんが、雇用保険では少し違った扱いとなり退職勧奨での離職は解雇と同じ事業主都合の離職となります。その場合、雇用保険の一般被保険者の受給資格は特定受給資格者となり、自己都合退職(一身上の都合等)に比べ、給付制限がなく、受給期間が優遇されています。尚、仮に試用期間が3ヶ月とするとその3ヶ月の雇用保険の被保険者期間だけでは、基本手当(失業した際に受けられる手当)を受給できないが、雇用保険では一定要件により今回離職した事業所以前の雇用保険の被保険者期間を通算することができ、基本手当を受給できる場合があります。

 これは試用期間中に限らないが退職勧奨により使用者が雇用契約を終了させる場合は、退職勧奨合意書に従業員より署名を取っておくことが一般的であり、従業員は退職勧奨に合意の上、退職する場合は退職勧奨による退職であることの書類を使用者よりもらっておくことが無難です。また、雇用保険において退職勧奨での退職で使用者が注意する点は、退職勧奨も事業主都合の離職となるため雇用保険の一部の助成金が一定期間受給できなくなることであり、従業員が注意する点は、使用者の中には雇用保険の手続きで退職勧奨による退職を自己都合退職と誤った書類作成を行う場合があるので、従業員は離職票の離職理由を確認の上、署名欄に署名する必要があります。

  尚、試用期間についてこのホームページの試用期間を設けるに記載してあります。


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