労働条件のミスマッチ(求人側と求職側とのニースのずれ)の中で賃金のミスマッチがあります。賃金のミスマッチの一つが固定残業代です。固定残業代とは一定時間数の時間外労働賃金を手当として支給する制度で、会社により名称は定額時間外手当、定額残業代などとしています。 また、会社により業務手当などの名称で、その名称だけでは固定残業代の支給と判断できない手当名称を使用している場合もあります。尚、固定残業代に一定の時間外労働賃金の他に深夜労働・休日労働の一定時間数の割増賃金を含めることも可能です。
固定残業代によるトラブル増加により若者雇用促進法(青少年の雇用の促進等に関する法律)では平成27年10月1日より適用された指針(平成27年 厚生労働省告示第406号)では募集にあたり講ずべき措置として次の事を記載しています。
固定残業代を採用する場合は
- i. 固定残業代を除いた基本給の額
- ii. 固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法
- iii. 固定残業時間を超える時間外労働、休日労働および深夜労働に対して割増賃金を追加で支払う旨
ハローワークでは求人募集の際に固定残業代を採用している場合には、上記の指針内容を求人申込書に記載が必要とされています。また、一般の求人媒体でも賃金に固定残業代を採用している場合は、上記指針内容に近い下記の内容を記載しているところが増えています。
- i. 固定残業代の金額
- ii. その金額に充当する労働時間数
- iii. 固定残業代を超える労働を行った場合は追加支給する旨
さらに平成30年1月1日より実施の職業安定法(省令・指針を含む)では、募集にあたり固定残業代を採用する場合は上記、若者雇用促進法の指針と同内容を記載することが義務化されました。
求人募集で固定残業代の採用、さらに固定残業代の金額とその時間数の記載が周知されれば、求職者は固定残業制を承知の上で応募・就職することができ、賃金のミスマッチが減るはずです。また、一部の使用者は、固定残業制を残業代を払わなくてよい制度と誤った考えをもっているので、求人募集の際の「固定残業代は、固定残業時間を超える時間外労働に対して割増賃金の追加支払が必要」が周知されることにより、その誤った考えが減るのではないかと思います。
上記の関連リンク
労働者を募集する企業の皆様へ (職業安定法関連のリーフレット) |